2015年10月27日(火) チャミダレアミタケ:意外と硬かった
 近くの都市公園で広葉樹に白腐れを起こしている硬いきのこ(a)を採取した。これをジックリと眺め回してみた。カサ表面には放射状の細かいシワがあり(a, e)、子実層面は管孔状から乱れた歯牙状で(b, c)、口孔部では穴の数は1〜1.5個/mmほど(c, f)。固くて苦労したが子実体の断面を切り出すと、カサ表皮とカサ肉は明瞭に分離し、子実層は意外と深い(d)。
 子実層の小片をフロキシン・消しゴム法でバラしてみると(雑記2010.7.31同2003.9.18 等)、どうやら三菌糸型(trimitic)で、原菌糸(generative hyphae)は赤色に染まりクランプ(かすがい連結:clamp)がある(g, i)。隔壁がなく厚壁で褐色・紐状の骨格菌糸(skeletal hyphae)(g, j)と、細かく枝分かれした厚壁・褐色の結合菌糸(binding hyphae)(h, k)が明瞭に区別できる。
 子実層をバラして、胞子や担子器を捉えようと試みたが、結局胞子は見当たらず、担子小柄(sterigmata)を備えた担子器らしき姿も捉えることができなかった(l)。シスチジア(嚢状体:cystidia)や剛毛(setae)あるいは汁管菌糸(vascular hyphae)といったような構造は見られない。
 観察結果からこのきのこはチャミダレアミタケ Daedaleopsis confragosa としてよいのだろう。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日の朝はよく冷え込んだ。顕微鏡室で作業をするにあたり足元に湯たんぽを置いた。今シーズンはじめての暖房となった。さらに寒さ到来に備えて灯油を購入した。


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