2015年12月28日(月) アナタケ:まるでコウヤクタケのような
 どうしてこれが多孔菌の仲間なのか以前から不思議に思っていたのがアナタケだ(a〜c)。子実層だけからなるキノコというのは、生殖機能にのみ特化した蘚類の矮雄のように思えて奇異の感を抱いてきた。ルーペで見るまでもなく(d)、全背着生でほとんど子実層托しか持たない。
 顕微鏡で見ても、菌糸は二菌糸型で(e)、先端の膨大したシスチジアが多数みられる(f〜h)。胞子は短楕円形で(i)、よく見ると担子器もわかる(i)。一方、子実層から突出して先端に小さな粒状の構造をもった細胞があるが(k, l)、KOHで封入すると粒状物は溶けてしまって単なる棒状の細胞先端が見られるだけになってしまう。
 アナタケによく似たコウヤクタケの仲間がある。ヒビワレコメバタケ、シロコメバタケなどだが、これらはルーペで見ると、いずれも微粒突起が散在するのでなんとなくわかる。顕微鏡で見ると両者とも一菌糸型だ。またよく似たきのこに、微細な棘が無数にあるオロシタケという背着生のきのこがある。これはヒメキクラゲの仲間で、顕微鏡で見ると違いは明瞭だ。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日農協の産地直売所で購入した干し柿が今日はもう黴にやられていた。ティッシュペーパーで黴を拭き取って食ったが、購入直後の味と変わってやや酸っぱくなっていた。例年出荷している農家の干し柿がこのざまとは。スキー場だけでなく暖冬の影響は被害甚大のようだ。


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