毒抜きを施し調理されたシャグマアミガサタケ。中華料理で利用した。 とても美味しいきのこだ。北欧などではどこにでも商品として並んでいる。 |
ドクツルタケなどと並んで致命的な猛毒菌として知られ、わが国では3月から6月くらいまで見ることができる。頭部の赤褐色が鮮やかで柄の部分との対比がとても美しいと思う。北欧では古くから食用きのことして親しまれていて、缶詰なども広く出回っている。かの地では毒抜き処理の方法などが広く一般常識として知られているという。どこの店の店頭にでも商品としてごく一般的に並んでいる国もあると聞く。ちょうどわが国のフグ料理を思い浮かべてみるとよい。素人がうかつに手を出すと怖いが、適切に処理されたものは美味しい。そして、そういったことが常識となり食文化の中に定着している。
かつて北欧からの輸入物の缶詰シャグマを購入して食べたことが何度かあった。缶詰を食べての中毒例も国内外にあるので、以前は自分たちで採取したものを食べようとは思ってもいなかった。ただ、適切な毒抜き処理さえすれば、自分たちで採取したシャグマアミガサタケでも美味しく食べられる、という意識はずっとあった。そして採取したばかりの新鮮なものを食べてみると、その味は缶詰などよりずっと上だった。以来、毎年楽しみのひとつとなっているきのこの一つとなっている。毎年時期になると親しい仲間内で「赤熊(しゃぐま)祭り」と称して、自分たちで採取してきたシャグマアミガサタケを肴に酒を酌み交わすのがならわしとなった。しかし、絶対的な自信をもって適切な毒抜き処理ができないならば、決して口にしてはならないきのこでもある。なお、埼玉きのこ研究会の横山 元氏による「シャグマアミガサタケ試食記」は非常に参考になるだろう。
シャグマアミガサタケは春のきのこである。早い歳は4月頃からみることができるが、富士山や日光、奥多摩などでは5月が最盛期のようだ。時には4月初旬の寒い時期に、残雪の残る斜面に出ているのを見たこともある。よく似たきのこにオオシャグマタケがある。このきのこは別名ホソヒダシャグマアミガサタケともいい、シャグマアミガサタケとよく似ている。発生時期もほぼ似たように春から初夏の頃である。このきのこは毒はないようだが、シャグマアミガサタケとよく似ているので注意が必要だ。
シャグマアミガサタケとオオシャグマタケは見た目ではわかりにくいほどよく似ているものもたまにあるが、見慣れると一目でわかるようになる。それでもたまに外見だけではわからないほどよく似ているものもある。そんなときには顕微鏡で胞子の形を見ると明瞭に区別できるのはありがたい。あまり解像度のよくない安物の学習用顕微鏡ですら、両者の胞子の形の違いと大きさは歴然としている。ただ、これとて顕微鏡を使い慣れていないと、いくら胞子を見ても両者の違いを見分けることができないかもしれない。(2002.11.1)
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