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胞子遊び:フクロシトネタケ | |||||||||||||
フクロシトネタケの胞子は面白い形をしている。楕円形の長径の両端に嘴状の突起を持ち、胞子表面には隆起した網目状の皺をもっている。その胞子をいろいろな試薬類で封入して、それぞれ対物40倍やら対物油浸100倍レンズで、胞子表面やら胞子輪郭部を覗いて遊んだ。これは単なるお遊びであって、何の意味もないし、学問的にも何の意味もない。 初めにとりあえず、子実体の断面を見た。最初はルーペでみた(b)。ついで切片を切り出して、水道水(c)とメルツァー試薬(d)で封入して、まずは対物40倍レンズでみた。対物油浸100倍レンズでも胞子表面(e)と胞子輪郭部(f)に合焦してみた。 ここから胞子遊びとなるが、まず最初に封入液を使わず表面(g)と輪郭部(h)に合焦して、対物40倍でみた。そしてカバーグラスの端から水道水を注入して水封状態で見た(i, j)。これも対物油浸100倍にしてみた(k, l)。メルツァー試薬で封入すると、子嚢は非アミロイド(d〜f)。 |
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改めて胞子だけをメルツァー試薬で封入してみた。一般に胞子をメルツァー試薬で封入すると、胞子表面に薄い膜を作るので、内部が見えなくなる。ちょうど曇りガラスの向こう側を覗くような感じだろうか(m〜p)。ベニタケ科のキノコ以外ではあまり面白味がない。 フロキシンで封入すると一般にコントラストが明瞭になって組織の構造が分かりやすくなる。ここでは、他と同様に、対物×40と×100で、胞子表面と輪郭部に合焦したものを掲げた。 コットンブルーで封入すると、胞子表面の膜の部分が溶け始めて全体像もぼやけてしま。強い乳酸のために表面の組織が溶けてしまうのだろう。 濃硫酸はナヨタケ属(Psathyrella)か否かを判定するのに昔からよく使われてきた。強力な化学作用で胞子表面を溶かしたり、明瞭な変色作用を現したりする。このキノコの場合には、短時間では表面をドロドロに溶かし始めるが、そのまま数分間ほど放置すると胞子が丸裸になったかのような姿になる。 |
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肉眼的にはフクロシトネタケはオオシトネタケととてもよく似ている。よくよく観察すればフィールドでも両者を区別できるのだろうが、ときに何とも判断に迷うことが多い。しかし、両者の胞子の姿はかなり異なるので、顕微鏡でちょっと覗きさえすれば同定に迷うことは少ないだろう。 |
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