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2017年5月22日(月) たまにはちっちなキノコも見なくちゃね
 乾燥していてもヒノキ林の足元には小さな白色のしっかりしたきのこがでている。カサの径は2〜5mm。ヒノキオチバタケだ。すっかり乾ききっていて胞子紋はまったく落ちなかった。
 ヒダがとても疎で幅がないので(b)、カサごとそのまま薄切りにした。コントラストが弱くて目が疲れる。そこで直ちにフロキシンを加えた(c)。子実層ばかりがよく染まる。倍率を上げてみた(d)。カサ表皮の組織はへんてこりんな形の細胞からなっている(d, f, g)。ヒダの先端を見たがシスチジアがあるのかないのか、どんな形なのかはよくわからない(e)。これはおそらく切片が厚すぎるからだろう。面倒なので、改めて薄切りを切りなおすのはやめた。
 そこでヒダの先端付近を2mm四方位切り出して、フロキシンで染めてKOHで封入して押し潰してみた。ようやく胞子を確認できた(h)。担子器の基部にクランプはなさそうだ(i)。子実層やカサ肉にはクランプが豊富にある(j)。柄のシスチジアはヒダ先端周辺のシスチジアと似たような形をしている(k)。柄を横断面で切ってみた。細長い菌糸がパイプの様で面白い(l)。
 小さなきのこの観察は大変だ。せっかく薄く切れた切片も、エアコンや扇風機の風が少しでもあたろうものなら、たちまちどこかに吹き飛ばされてしまう。もっとも薄切り片が風に弱いのはきのこの大きさとは関係ないか。おりしもとても暑い午後だった。汗をかきながら扇風機もエアコンもつけずにじっと我慢して顕微鏡を覗いていた。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)