「今日の雑記」(6月2日)に画像(k), (l) で表示したモエギタケ科のきのこについてのメモをここに記しておくことにした。樹林の中で薄暗い現地では、まるでご禁制品のPsilocybe(シビレタケ属)のように、カサや柄の一部が青味がかって見えた。しかし、手で摘んだり傷つけてみても青色には変色せず、赤褐色を帯びた。そこで安心して持ち帰ることになった。
ルーペで見る限りはシスチジアらしきものはみられない(g, h)。胞子紋をとって検鏡すると、厚い細胞壁には発芽孔があるようだが小さくてはっきりしない(i)。そこで濃硫酸で封入すると発芽孔の存在が明瞭になった(j)。ヒダを一枚取り外してスライドグラスに寝かせて縁をみた。どうやら縁シスチジアがありそうだ(k)。フロキシンで染めてみると少しはっきりしたが、他の部分も赤色に染めすぎた。縁だけを染めなかったのは失敗だった(j)。
ヒダの薄片を切り出してみたが(m)、側シスチジアはなく縁シスチジアもはっきりしない(n)。ヒダの縁の方をピンセットでつまみ出して、フロキシンで染めてからKOHで封入して押し潰した。縁シスチジアの形が捉えられた(o)。担子器の基部にはクランプがあるようだ(p)。カサの上表皮は透明な薄膜の菌糸が平行に走っている(r)。
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