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ヤケイロタケ:久しぶりの硬質菌 | |||||||||||||||||||
自宅の近くを散策していると倒木や立ち枯れにヤケイロタケ(多分)がよくついている(a〜d)。いつもは見てもそのまま通り過ぎるのだが、とても新鮮なので持ち帰ってしまった。 今年から原則として自宅に標本は残さない方針としたので、採取したり観察を終えた標本は処分するか、しかるべき収蔵庫へ納めてきた。大方は処分となる。 若い菌だったらしく、数時間放置しておいたら、紙の上に胞子がたっぷり落ちていた。若いうちはカサ表面には多数の毛が見られる(e)。孔口は5〜7個/1mmで(i)、若い孔口は先端にも微毛があるかのような姿をしている(f, j)。きのこの断面をみると、暗褐色の子実層と白色のカサ肉との間に暗色の層が見える(g, h)。 久しぶりにフロキシン・消しゴム法で菌糸をバラしてみた(k)。一菌糸型でクランプがある(l)。視野の中で短子柄をつけた担子器を探すと、小さな担子器が見つかった(m)。基部の様子は分からない。胞子がたっぷり落ちたので、胞子で遊んだ。対物40倍レンズで見ると小さな俵形の胞子が見える(n)。メルツァー試薬で封入すると全体が黄色くなるだけだ。つまり非アミロイド(o)。フロキシンで封入すると形がより明確になった(p)。コットンブルーで封入すると、どうやら細胞壁は染まらず、細胞の内容物だけが青色に染まった(q, r)。 |
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観察の済んだ若い子実体は収蔵庫には送らず、そのまま庭に捨てた。ありふれたきのこだし、わざわざ収蔵庫に入れるほどの価値はなさそうだからね。 | |||||||||||||||||||