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見るに事欠いてシロハツなんぞをみた | |||||||||||||
今日はどこの都市公園に行ってもきのこはほとんどなかった。たまたま寄った宇都宮市の文化の森では、駐車場にベニタケ科の大型きのこが多数群落を作っていた。多くは、コケを押し上げて出ていた。このきのこ以外には公園内のどこにもきのこはなかった。 ちょっと見たところ、チチタケ属のケシロハツモドキなのかベニタケ属のシロハツなのかわからなかった。チチタケ属だからといっても、傷つけてみてもすぐには乳液がでないことはしばしばあるからだ。そこでとりあえず持ち帰って、胞子と子実層を確認してみることにした。 比較的瑞々しくてヒダも白色の子実体を持ち帰ったのだが、帰宅してみるとヒダは既に褐色を帯びていた。カサ部の一部を切り出して胞子紋をとり、一方でお決まりの三種の試薬による呈色反応をみた。ところが試薬が期限切れで、まともな反応を得ることはできなかった(c)。 ヒダの断面を切り出してみると、どうやら縁にも側にもシスチジアがあり、子実層托実質は球形細胞だけから構成され、乳管菌糸は見られない(f, g)。つまり、チチタケ属ではないことが分かった。胞子表面の翼状の構造は結構顕著だ(d, e)。 ヒダの一部をつまみ出してフロキシンで染めてKOHで封入して押しつぶしてみた。シスチジアは縁も側も似たような形で、便腹形で先端に小さな球がついたような形のものと、嚢状のものとがある(k)。大きさも担子器の1.2倍から2.5倍くらいと幅がある。念のためにカサ表皮の構造をみると、菌糸が平行に走っている。ここまでみて、とりあえずシロハツとすることにした。 |
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ふだん、ウコンハツ、アイタケ、フタイロベニタケ、ムラサキカスリタケといった特徴的なベニタケ属や、ルリハツタケ、トビチャチチタケ、ヒロハシデチチタケといった際立った特徴をもつチチタケ属以外は、めったに撮影したり検鏡したりしないのだが、きのこが何もないので今日はシロハツなどを観察してしまった。しかも珍しいことに検鏡写真を撮ったりした。そこで改めて気づいたのが試薬の期限切れだった。でも、ベニタケ科以外にはほとんど使うことのない試薬を改めて調整するのは面倒なので、今日のところは何もしないことにした。 | |||||||||||||