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2019年6月21日() 気まぐれに観たクロハリタケ
 このところ長い間硬いきのこは撮影もしなければ採取もしなかった。このままボケーと過ごしていたら、観察のポイントやらコツを忘れてしまいそうな気がする。そんな危機感?を感じたので、久しぶりにクロハリタケを採取してきた(a, b)。
 裏面はルーペで見なくても明瞭な針状あるいは尖ったイボ状をしている(c)。断面を見るとカサ表皮にあたる部分はフェルト状の薄い層と黒い革質の層からなっていて、その下に白色針状の子実層がある(d)。
 湿って弾力性のあるサンプルを紙袋に容れて持ち帰ったところ、大量の胞子がまかれたらしく紙袋の中が真っ黒になっていた。黒い部分にカバーグラスを押し当てて胞子を水封で見た(e, f)。地上生のきのこゆえ腐朽型をチェックすること自体無駄と思いつつ、1-ナフトール・アルコール溶液をかけて1時間ほど放置してみた(g)。何となく滴下直後より色が濃くなったような気がするが、紫色には変わらない。また30%KOHを滴下して同様に一時間後に確認してみた(h)。これも特に色の変化は感じられなかった。
 針の一部を薄切りにして検鏡してみたが、シスチジアの有無はよくわからない(i, j)。肝心の菌糸型だが、カサ肉の黒色の部分をフロキシンで染めてKOHで封入してみた。ちょっと見には、原菌糸と骨格菌糸の二菌糸型のようにも見えたが(k)、よくよく見ると骨格菌糸のように見えたものにも必ず隔壁がある(l)。
 つまり骨格菌糸ではなく、これも原菌糸ということになる。するとこれは一菌糸型ということになる。またクランプはどこにもなかった。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)