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[標本番号:No.3   採集日:2006/07/16   採集地:栃木県、日光市]
[和名:ウマスギゴケ   学名:Polytrichum commune]
 
2006年7月27日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 日光で採取した蘚類を観察した(a, b)。朔はフェルト状の帽を被っている(c)。帽がとれると、朔は四角柱のように四つの稜をもち、口は平らである(d)。朔歯は細かいU字形で64枚あり、その内側は薄い口膜でおおわれている(e, f)。朔柄は中空である(g)。
 葉を見ると縁がわずかに曲がり、中肋に平行に多数の薄板が見える(h)。葉の縁には鋭い鋸歯状の舷がある(i)。葉の断面を見ると多数の薄板が確認できる(j)。各々の薄板は5〜6層の細胞からなり、先端細胞はやや凹型をしている。胞子は類球形でとくに特徴はない。
 葉に薄板があり、朔歯がU字形で64あることから、スギゴケ科となる。さらに、朔に4つの稜があり、帽はフェルト状であるから、スギゴケ属に落ちる。さらに鋸歯状の舷がみられること、薄板の末端細胞の先端の形が凹型をしていることなどから、ウマスギゴケPolytrichum communeとしてよいのだろう。