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[標本番号:No.16   採集日:2006/07/30   採集地:山形県、米沢市]
[和名:シッポゴケ   学名:Dicranum japonicum]
 
2006年10月7日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 フェリー欠航のため午前中に時間ができた。そこで、昨日に引き続いて、以前採取したコケを調べてみた。7月30日に山形県米沢市の滑川温泉で、川岸の腐植土上に大きな群をなしていた(a)。朔がついていなかったので、属名までも分からないだろうと思い、そのまま放置してあった。乾燥状態となっても、葉の状態は採取時とあまり変わらない(b)。
 一本取りだして水没させ、葉を一枚外してみた(c)。中肋は葉先では溝状になり、鋭い歯を伴って尖っている(d)。基部では翼がよく発達し、矩形の大きめの細胞がみられる(e)。葉身部の細胞は細長く、厚めの細胞膜には強いくびれがある(f)。葉先付近の歯には舷はない(g)。葉上半部で中肋の背部を見ると、際だった背稜がありそこにも歯がみられる(h)。
 葉の横断切片を切りだしてみた。中肋背部には明瞭に突起がある(i)。中肋部に突起のない葉もある(j)。葉身部をみると厚い細胞膜がはっきりと分かる(k)。茎の横断面は三層からなり組織ははっきりと分化している(l)。その他、茎の基部にはところどころ白っぽい糸のようなものがついている。葉の基部付近では中肋の幅は、葉幅の1/6〜1/8程度だろうか。
 全体の葉の付き方、湿時と乾燥時で葉の状態に大きな変化がないこと、葉先の様子、翼部の発達程度、中肋背部の稜、葉身細胞の膜の強いくびれ。どうやらシッポゴケ科に属することは間違いなさそうだ。シッポゴケ科の属を次々見ていくと、シッポゴケ属とヘリトリシッポゴケ属が残った。しかし、中肋部の様子から、シッポゴケ属らしい。同属の検索表にあたると、シッポゴケに落ちる。現時点ではシッポゴケ Dicranum japonicum として取り扱っておくことにした。