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[標本番号:No.30   採集日:2006/10/26   採集地:埼玉県、所沢市]
[和名:ヒナノハイゴケ   学名:Venturiella sinensis]
 
2006年11月8日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 埼玉県所沢市の航空記念公園の樹幹には多数のコケがついている。駐車場脇のエンジュの幹を見ると、北側がコケですっかり緑色になっている(a)。近寄ってルーペで眺めてみると、蘚類、苔類あわせて5〜6種類が着いていた。その中から、白い帽を被った蘚類を持ち帰った(b)。
 乾燥しても帽や朔に大きな変化はないが、葉は縮れて細くなった(c)。湿らせて胞子体をみると、ヒダをもった白い帽がとてもきれいだ(d)。帽を外すと、尖った蓋がでてきた(e, f)。十分成熟していないせいか、蓋は外れない。帽ごと縦切りにしたが、朔歯ができていない(g)。
 柄の下部の葉は茶褐色であり、柄の腹側には褐色の仮根がみられる(h)。葉は卵形で先端が長く突出し、中肋はない(i)。葉身細胞は六角形で、葉先と基部とでは少し形が違う(j〜l)。基部の中央には細長い矩形の細胞も見られる(l)。
 朔がたち、朔柄が短く、蓋には短い嘴、白いヒダをもった帽がある、葉に中肋がない、などから、ヒナノハイゴケ Venturiella sinensis だろうと判断した。