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[標本番号:No.33 採集日:2006/11/09 採集地:栃木県、日光市] [和名:フロウソウ 学名:Climacium dendroides] | |||||||||||||
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先に日光で出会った大形のしっかりしたコケを観察してみた(a)。幅の狭い小さな清流脇の、湿った腐植土の斜面一面に生えていた。何本かを抜こうとすると意外と力がいることに驚いた。地下茎が広がっている様子で、大きな群落は地下で繋がっていた。 何株かを抜いてみると、褐色で丈夫な長い柄がまっすぐ伸び、先端近くで樹状に枝分かれしている(b, c)。褐色の柄は、鱗片状の葉に包まれ、先端近くまで褐色をしている(d)。枝葉は披針形から細長い卵形で(e)、先端には細い歯がある(f)。中肋は葉先近くまで伸びている。葉身細胞は狭い菱形から線形で、翼の部分では矩形気味の大きな細胞もみられる。 一方、茎の葉は形が全く違い、三角形から長卵形をしている(i)。茎葉の葉身細胞は枝葉と同様であるが、基部の細胞は長六角形のものが目立つ(k)。中肋は葉長の2/3ほどで、葉先までは達していない。枝葉、茎葉ともに、中肋はガイドセルがよく目立ち、背面は平滑である(l)。 細くて若い枝は淡緑色で毛葉は少ないが、やや太くなった赤褐色の枝や、地下からまっすぐ伸びる太い主茎には、多数の毛葉がみられる。小枝の毛葉などから、フジノマンネングサ属ではなく、コウヤノマンネングサ属のフロウソウ Climacium dendroides だろうと判断した。 |
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