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[標本番号:No.41 採集日:2006/11/25 採集地:茨城県、鹿島市] [和名:ヤマトフタマタゴケ 学名:Metzgeria lindbergii] | |||||||||||||
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先月25日茨城県鹿島神宮の森で腐朽木から採取した苔類がもうひとつ残っていた(a, b)。ブナ科の腐朽木の表面に着生し、長さ1〜2cm、幅0.5〜1.0mm。葉状体の背面には毛はない。持ち帰って紙袋に容れたまま冷蔵庫に放置しておいたら、すっかり乾燥していた。 乾燥した状態のものをルーペで見た(c)。所々に面白い形の組織がある。先端が膨大した棍棒というか、熱気球形で頭に白い毛が生えている(d, e)。また、中肋部に沿って、丸い組織もみられる。水を加えると、採取時に近い色を取り戻した(f〜h)。中肋部は二股に分かれた葉の先端にまで達し、表側も裏側も2細胞層が長く連なっている(g)。 顕微鏡で見ると、二股に広がった翼部の細胞は1層で、中肋の途中には、先にルーペで見えた丸い組織が見える(j)。横断切片を切りだしてみた(k, l)。中肋部の表皮細胞は、背側も腹側もそれぞれ、大きめで薄膜の2細胞からなっている。内部は厚膜のやや小さめの細胞からなる。 フタマタゴケ属の苔類だろう。検索表によれば、ヤマトフタマタゴケ Metzgeria lindbergii らしい。毛の生えた棍棒状の組織(d, e, h)は雌枝のカリプトラ、中肋部の途中についた丸い組織(j)は雄器のようだ。多角形の葉身細胞に油体が見られなかったのは、乾燥させてしまったからかと思ったのだが、生きているときでも油体はないのかもしれない。保育社の図鑑には油体のことには触れていない。平凡社の図鑑では「油滴」と表現してある。 ヤマトフタマタゴケの学名だが、平凡社の図鑑では Metzgeria lindbergii Schiffn.、保育社の図鑑では Metzgeria conjugata Lindb. subsp. japonica (Hatt.) Kuwah. となっている。ここでは、新しい図鑑の学名に拠った。 |
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