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[標本番号:No.46 採集日:2006/12/10 採集地:埼玉県、名栗村] [和名:ジャバウルシゴケ 学名:Jubula hutchinsiae ssp. javanica] | |||||||||||||
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埼玉県名栗村の薄暗い杉林から持ち帰った苔類を観察した。川沿いの暗い仕事道の脇に転がった腐朽木に着生していた(a)。全体に光沢があり、小さなコケで、長さ1.5〜3cm、幅は葉を含めて0.8〜1.5mmほど。やや規則的に羽状に枝を出し、葉は重なり合って倒瓦状につく(b)。 葉は卵形で全縁、先端がわずかに尖っているが、葉の中央には中肋のようなものはない(c, k)。葉の腹片は鐘形で基部に向かって開口しているが、顕著なくちばしはない(b, c, i)。腹葉は楔形に大きく2裂し、先端には歯のように尖っている(d, f, g)。 茎の腹側からは、腹葉の基部から仮根がでて、基物に着いている(h)。茎の先端には花被のようなものがみられる(i, j)。茎の途中にも所々に似たような組織がある(k)。葉身細胞をみると、トリゴンは小さく、楕円形から紡錘形の油体が6〜10ほどある(l)。 ヤスデゴケ科 Frullaniaceae の苔類ではないかと思う。そこで観察結果から、保育社『原色日本蘚苔類図鑑』の属の検索表をたどってみた。「3. 腹葉は2裂する」までは問題なくたどれるが、その次の「4. 葉の腹片と腹葉に長歯がない」をどう判断するかで大きく分かれる。腹片には、歯はないように見えるが(c〜e)、腹葉には長歯があるようにも見える(f, g)。 ここで長歯があると判断すると、ヒラキバヤスデゴケとなる。一方、長歯がないと判断すると、腹片のくちばしがキーとなる。件の苔はくちばしはとても短いから、次の検索項目に移ると、カラヤスデゴケに落ちてしまう。カラヤスデゴケは9/15に観察しているが、この苔とは明らかに違う。特に、腹葉と葉身細胞のトリゴンの様子が異なる。ヒラキバヤスデゴケの記述を読むと、腹葉と葉身細胞のトリゴンについて、やはり異なる。 つぎに、平凡社『日本の野生植物 コケ』のヤスデゴケ科の検索表にあたってみた。この図鑑では、検索表はさらに詳細をきわめる。ただ、キーワードを広義に解釈するか、狭義に解釈するかで、検索結果は大きく異なる。しかし、そこに掲載された種についての記載をみると、いずれにも合致するようには思えない。ヤスデゴケ科ではないのだろうか?
[修正と補足:2006.12.13]
[修正と補足:2006.12.14] |
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