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[標本番号:No.51 採集日:2006/12/23 採集地:埼玉県、川口市] [和名:ナガヒツジゴケ 学名:Brachythecium buchananii] | |||||||||||||
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自宅団地で採取したコケを観察してみた。裸地の土の緩い斜面に柔らかなマット状の群落をなしている(a, b)。茎は3〜4cmで、不規則に枝をだして這っている。濡れても乾いていても葉の開き具合はあまり変わらない。支枝の一つを顕微鏡でみた(c)。葉を外してみると、卵形〜卵状披針形で、縦にしわがあり全縁、中肋は葉の2/3ほどまで伸びている(d, e)。 葉身細胞は長い紡錘形〜線形で(f)、翼部分では長めの方形となっている(g)。葉の基部の中肋を含んだ面で横断切片を作ろうと何度も試みたが、結局上手くいかなかった。葉の中程の横断面(h)と中肋が途切れた部分の横断面(i)しか切り出せなかった。これらをみるとマミラやパピラは見られない。念のために茎の横断面を切り出してみた(j)。 いろいろな状況証拠からどうやらアオギヌゴケ科の蘚らしい。アオギヌゴケ科は多くの種をかかえていて、同定の難しい科だという。朔がついていないので、正確な同定は難しいかもしれない。検索表にあたると、アオギヌゴケ属に落ちる。これまた、分類の難しい属らしい。いくつかの図鑑の記載と観察結果を照合していくと、ナガヒツジゴケ Brachythecium buchananii が最も近いように思われる。もし、そうなら都市部に広く見られるものらしい。
[修正と補足:2010.04.14] |
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