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[標本番号:No.54 採集日:2006/12/25 採集地:東京都、八王子市] [和名:ケチョウチンゴケ 学名:Rhizomnium tuomikoskii] | |||||||||||||||||||
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高尾山で出会ったコケのなかで、興味深い姿を呈していたものがある。山頂近くの沢の中に腐ってボロボロになった太い丸太があった。その上面から側面にかけて、丸い葉を広げたコケが着いていた。その頂部には、茶褐色の糸くずのようなものが乗っていた(a, b)。朔をつけたものがごくわずかに見られた。 糸くず部分をルーペで見ると、それは仮根と無性芽のようだった(d, e)。葉は頂部に密につき、ウチワ型をして外側に反り返っている(f, g)。先端がわずかに突出し、縁は舷をなし、全縁である(g〜i)。中肋は赤みを帯びて葉先ちかくまで伸びている(g)。葉身細胞は六角形でとても大きく、ルーペで簡単に確認できる(j)。 仮根は茎の基部から、葉の上面にまで多数伸びている。これを取り外してみた(k)。仮根の分枝した先には多数の無性芽がついていた(k)。無性芽は8〜10の節を持った線形芋虫状をしている(l)。隔壁が赤褐色をしているのが不気味な印象を与える。 大きく厚い葉なので、とても楽に横断切片を作ることができた(m)。葉の舷の部分にも中肋と似たような構造があり、茶褐色をしている(m, o)。中肋は内部に薄膜茶褐色の細胞があり、外側が厚壁の比較的大きな細胞が占めている(n)。 少しだけついていた朔は未熟だった(o)。帽は未完成で蓋も自然には外れなかった。これを横断面で切ってみた(p)。口環はでき始めているようだが、朔歯は全くできていない。朔柄を横断面で切ってみると、ほぼ同心円上に大きさの違う組織がみられた(r)。 大きな仮根ばかりがあり、茎頂部にある葉の上面にまで多数みられること、仮根の先に線形の無性芽がみられることから、ケチョウチンゴケ Rhizomnium tuomikoskii だろう。 |
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