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[標本番号:No.82   採集日:2007/01/24   採集地:富山県、富山市]
[和名:トサカホウオウゴケ   学名:Fissidens dubius]
 
2007年1月27日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 富山市内の小丘で石積みの壁に、朔をつけた状態のホウオウゴケの仲間が着いていた(a, b)。ホウオウゴケ科蘚類の朔を見るのは初めてだった。一度じっくり眺めてみようと思って採集してきた。結果として、これはトサカホウオウゴケ Fissidens dubius だった。同定するために、一通りの観察をしたが、ここでは葉先(c)と横断面(d)の写真だけを取りあげた。
 朔をつけた茎をとりだした。朔は側生で、一本の茎にひとつの朔をつけるものが多いが、ときに数本の朔をつけた茎もある。みるみる乾燥して、葉先は丸まりはじめた。朔も心なしか汚れている(e)。水没させると、葉はすぐにもとに戻り、朔は泥が落ちて綺麗になった(f)。帽をかぶり、朔も柄も赤色をしている(g)。尖った蓋を外してみた(h)。
 この後は、朔の表皮や柄の横断面、柄の表皮、そして朔柄の基部の苞葉なども観察したが、ここでは、朔歯だけを取りあげた。朔歯は一列で、16枚からなり、それぞれの朔歯は先端が二つないし四つに割れている(i〜k)。朔歯には規則的な横縞が入り、先端は糸のように細くなっている。朔歯一枚をとりだして、軽く押し潰してみた(l)。芸術品を見ているようだ。