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[標本番号:No.96 採集日:2007/02/06 採集地:神奈川県、川崎市] [和名:トヤマシノブゴケ 学名:Thuidium kanedae] | ||||||||||||||||
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今週の火曜日(2月6日)に川崎市の緑地帯から、半日陰地の樹幹に着いていたシノブゴケ科らしきコケを持ち帰った(a)。ずっと乾燥していたこともあり、樹幹にベッタリとはりついた状態だった。茎は丈夫で、長さ12〜18cm、先の方は細長く伸び、2〜3回羽状に分枝している。 枝は幅広く平面的に拡がり(b)、茎の基部は毛葉に覆われている(c, d)。茎の横断面をみると、中心部は薄膜の大形の細胞、表層付近は厚壁の小さな細胞からなり、表面から毛葉がでている。茎表皮には乳頭のような構造やマミラのようなものもみられる。 茎葉は卵形から急に細くなり先端は芒状となって長く伸び、葉には縦に深い皺がある(f)。長さは1.2〜1.6mmで、細い茎ではさらに小さく、全体は三角形をなす。茎葉の中肋は太く葉の先端まで伸び(f)、基部では毛葉を伴っている(g)。横断面にも葉の縦皺が反映されている(h)。 枝葉はとても小さく、長さ0.6mm以下のものが多く、卵状披針形〜三角形で、先端が長く尖ることはない(i, j)。枝葉には縦皺はなく、太い中肋が葉の2/3あたりまで伸びる。葉の横断面を見てもV字型の折れ込みはみられない(k)。 茎葉、枝葉ともに、葉身細胞は、不規則な矩形〜六角形で(j)、表面には先が2〜4つに分かれた大きなパピラが見られる(e, g, l, m)。茎葉の翼部では、葉身細胞は細長くパピラを持たないものがある(n)。毛葉にもパピラがある(o)。 これは典型的なトヤマシノブゴケ(アソシノブゴケ) Thuidium kanedae なのだろう。トヤマシノブゴケを採取したのは2度目となる。はじめて出会ったのは昨年7月で、まだこけについて全く何も分からない頃だった。今回は、顕微鏡を覗いたとたんに、トヤマシノブゴケだろうと見当がついた。この半年間の観察習慣は無駄ではなかったようだ。 |
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