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[標本番号:No.104 採集日:2007/02/12 採集地:静岡県、静岡市] [和名:エゾスナゴケ 学名:Racomitrium japonicum] | |||||||||||||
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南アルプス南部の標高1,100mほどの林道脇、陽当たりの良い岩壁とそれに続く土の法面に、ずんぐりと太めのコケが群生していた(a)。すっかり乾燥していたが、茎は2.5〜3.5cmで灰緑色を帯び、葉が螺旋状に巻き上がったような姿で茎に密着している。濡らすと、黄緑色が強くなり、葉はすっかり反り返って何となく肉厚感が出た(c, d)。 葉は卵状楕円形で、長さ1.8〜2.2mmほどのものが多く、一本の中肋がほぼ葉先近くまで達し、葉頂は鋸歯をもった透明尖となっている(e, g)。葉は中肋を折り目として二つに折り畳まれたような構造をしている。このため葉をそのままスライドグラスに置くと、たいてい横になってしまい(f)、無理矢理開くと折れ曲がったり(e)、中肋部に沿って破れてしまう。 葉身細胞は、表裏ともに多数のパピラに覆われ、葉の上半部では方形(h左側)、中程から基部に欠けては方形〜矩形で(h右側)、細胞壁が波状に肥厚している(h)。翼部では透明大型でパピラを持たない褐色の細胞となっている(i)。葉の透明尖近くの緑色の部分を横から見ると、パピラの様子がよく分かって興味深い。 葉を基部近く、中央付近、先端近くの透明部で、それぞれ横断面を切り出してみた(j〜l)。どの部分をみても、中肋はガイドセルとステライドだけで構成され、葉身細胞の両面には顕著なパピラが見える。なお、茎断面には中心束は全くみられない。
ギボウシゴケ科シモフリゴケ属には間違いない。最初に保育社の『原色日本蘚苔類図鑑』1972 の検索表をたどってみた。すんなりとスナゴケ Racomitrium canescens に落ちた。他の古い図鑑類に従うと、いずれもスナゴケということになる(長田『こけの世界』1974、井上『原色コケ・シダ』1970 等々) 。野口『日本産蘚類概説』1976 や井上『こけ』1969 では、R. canescens にナガスナゴケの和名をあて、和名スナゴケに対しては R. canescens var. ericoides をあてている。 |
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