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[標本番号:No.111 採集日:2007/02/17 採集地:埼玉県、川口市] [和名:ヒョウタンゴケ 学名:Funaria hygrometrica] | |||||||||||||||||||
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土曜日(2/17)、川口市安行地区にある名刹密蔵院を訪れた。駐車場近くの焚き火跡に小さなコケが群生していた(a, b)。先日静岡県北部の山の中で採取したコケがまだ数種類残っているのだが、今日はこの焼け跡コケを観察してみることにした。 近づいてみると、緑から赤、褐色の朔が美しい(c)。コケ本体はとても小さくて、背丈は6〜8mm程度しかなく、茎の頂部に葉を密集させている。そこから2〜5cmほどの高さに朔柄を伸ばしている(d, e)。湿時開いていた葉は、乾燥するにつれて縮れていく(f, g)。 葉は倒卵形で、先端がわずかに尖り、縁は全縁、中肋は葉先にまで達する(g)。葉身細胞は矩形〜多角形で30〜60μ、葉の上半部では幅広の多角形が多く(i左)、葉の下半部では長めの矩形が多く(i右)、翼部ではさらに長めの矩形となる(j)。葉の横断面を見ると、薄膜の葉身細胞と相対的に細めの中肋がよくわかる(k)。茎は表皮が大型の細胞に囲まれている(l)。 朔の形が面白い。先端部が膨らんだ洋梨形をして、若い頃は緑色だが、やがて赤褐色となる。干からびると、褐色となり縦皺を表す。蓋は皿のような形をしている。今回採取した標本では、帽はほとんどが外れていた(m)。 朔は二列で、16枚ある外朔歯はカメラの絞りのような形になっている(n)。外朔歯の表面には小さな乳頭がみられる(c)。若い朔の一部を蓋と一緒に切り出してみた(p)。口環が良く発達している(q)。朔柄の断面をみると、肥厚した膜をもつ細胞が表面を囲み、内部に大型で薄膜の細胞が位置している。典型的なヒョウタンゴケ Funaria hygrometrica らしい。 |
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