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[標本番号:No.106 採集日:2007/02/12 採集地:静岡県、静岡市] [和名:オオバチョウチンゴケ 学名:Plagiomnium vesicatum] | |||||||||||||
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今月12日に南アルプス南部で濡れた岩壁に群生していたコケのうちの、残りのひとつを調べてみた(a)。匍匐茎と直立茎があり、直立形ではやや放射状に葉がつくが、匍匐形では扁平につき、不規則に枝分かれし、多数の褐色の仮根で岩に着生している。乾燥するとかなり縮む。 葉は楕円形〜卵形で、長さ6〜8mm、中肋が先端にまで達し(c)、葉頂はわずかに突出し(e, f)、葉縁には3〜4細胞列からなる明瞭な舷があり、縁には微歯も見られるが、おおむねほぼ全縁である(e, f)。葉身細胞はとても大きいが(d)、中肋沿いの細胞も他と同じ大きさである。 葉身細胞は六角形で、長さ50〜85μm(h)、場所によってはかなり扁平になり、100μmを越えるが、葉頂部や舷の近くではやや小ぶりとなる(f, g)。横断面をみると、中肋にステライドはほとんど見られず、大きなガイドセルばかりが目立つ(i)。舷はやや肥厚した小さな細胞からなる(j)。 茎の横断面には、茶褐色の中心束があり、表面は小さな細胞が並ぶ。仮根の断面をみると、表面には小さな疣がある。 匍匐茎と直立茎をもち、葉縁は微歯があり、舷は単層の細胞からなるなどから、ツルチョウチンゴケ属だろう。葉の形が楕円形〜卵形で、葉先は円頭でわずかに突出、葉縁はほぼ全縁ないし微細な歯をもつこと、中肋沿いの細胞が際だって大きいこともない、などから、オオバチョウチンゴケ Plagiomnium vesicatum としてよさそうだ。 |
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