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[標本番号:No.107 採集日:2007/02/12 採集地:静岡県、静岡市] [和名:トヤマシノブゴケ 学名:Thuidium kanedae] | |||||||||||
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2月12日に南アルプス南部の林道で採取したコケ標本がのこり二つとなった。そのうちのひとつを観察してみた(a, b)。現地でルーペで見た限りでは、茎に毛葉が多数あり、茎葉にも枝葉にも乳頭がある。したがってシノブゴケ科だろうと見当をつけていた。これまで、この仲間で観察したのは、トヤマシノブゴケとホンシノブゴケだが、それらのどちらと考えてもおかしくない。 今回採取した標本は、林道脇の斜面の大きな岩上とその周辺からでていた。茎は這い、何回か羽状に分枝して、繊細な感触である。羽状になった一部を水没させてルーペでみた(c)。茎に乳頭を持った細胞からなる毛葉に覆われている(d)。 茎葉は三角形で葉先が急に細くなって先端は糸状に延びている。葉の基部には縦にスジがはいり、中肋が葉先まで達しそのまま芒となっている(e)。茎葉の表面を顕微鏡でみると、丸みを帯びた不規則な多角形をした葉身細胞からなり、細胞膜は厚い。それぞれの細胞には先端がいくつかに割れた乳頭がある(f)。 枝葉は茎葉に比較するとはるかに小さく、先端も芒とはならず、単純に尖っているものが多い。葉身細胞は茎葉と同じようなサイズ、形で、やはり先端が複数に割れた乳頭におおわれている(g, h)。たまたま、葉の側面が見えていたので撮影したが、細胞表面の乳頭がよく分かる(i)。 茎の表皮細胞は厚壁の小さなものからなっているが、内部は薄膜のやや大きめの細胞からなり、中心束はあまり発達していない。茎の断面をみても表面から出る毛葉がよく分かる(j)。トヤマシノブゴケ Thuidium kanedae に間違いあるまい。 |
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