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[標本番号:No.113 採集日:2007/02/22 採集地:埼玉県、川越市] [和名:アカイチイゴケ 学名:Pseudotaxiphyllum pohliaecarpum] | |||||||
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川越市の雑木林で、やや湿った樹下に泥に汚れたやや白っぽいコケがあちこちに群をなしていた(a)。茎は横にはい、長さ1.5〜2.0cm、葉は扁平につき、乾いても湿ってもあまり様子は変わらない。枝分かれはほとんどなく、茎に毛葉のようなものはない。 葉は非相称の卵形で、長さ1.0〜1.5mm、先端は尖り、縁には微歯がある(d)。中肋は二叉し非常に短く、ほとんどみられない葉もある。葉身細胞は線形で、葉の中央部で長さ60〜80μm、幅5〜8μm、先端部ではやや短い。翼部は特に分化しないが、細胞の幅がやや広い。葉の色があまりにも白っぽいので、実体鏡でみると、透明細胞からなる葉が広範囲にみられた(c)。葉の付け根あたりには、おしぼりを絞ったような形の無性芽が多数ある(f)。 形態からサナダゴケ科ないしハイゴケ科と判断した。このような特徴的な無性芽をつけるコケは少ない。アカイチイゴケ Pseudotaxiphyllum pohliaecarpum だろうと思う。今回は、無性芽の形態から、種名をほぼ類推できるので、葉や茎の横断面の観察はしなかった。それにしても、「アカ(赤)イチイゴケがこれほど白っぽい姿になるとは思ってもいなかった。 |
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