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[標本番号:No.114 採集日:2007/02/22 採集地:埼玉県、川越市] [和名:ケカガミゴケ 学名:Pylaisiadelpha yokohamae] | |||||||||||||
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川越市の雑木林で腐朽木に出ていたコケを持ち帰った。赤褐色の朔を多数つけていた(a, b)。茎は這い、不規則に羽状分枝し、1〜2cmほどの枝を伸ばし、枝の途中から15mmほどの長さの朔柄を出している(c)。乾くと葉は茎に接するようになってシワが寄り、湿ると葉は茎から離れる。茎には毛葉とか偽毛葉などはみられない(d)。 枝葉は卵状披針形で先端は長く延びて鎌状に曲がる(e)。多くは中央が深く凹む。葉縁の上部には葉がある(f)。中肋は不明瞭。茎葉も枝葉とほぼ同様である。葉身細胞は線形で長さ50〜80μm、幅4〜6μm、翼部では薄膜透明の大型細胞からなる(h)。葉の横断面をみると細胞膜は思いの外薄い(i)。茎や枝の横断面をみると、表皮細胞は薄膜大型で、内部に中心束はみられない(j)。朔歯は内外2列からなり(k)、内朔歯の上部には多数の微突起がみられる(l)。 いったいどの科に落ちるのか、どうにもわからないので、特徴的なものを整理してみた。茎が這う。不規則に羽状に分枝する。葉の付き方は扁平ではない。毛葉や偽毛葉は無い。葉は卵状披針形で先が鎌形に曲がる。中肋は不明瞭。茎の表皮細胞は大型薄膜。
該当する科をあたると、ナガハシゴケ科あるいはハイゴケ科が浮上した。ナガハシゴケ科ではナガハシゴケ、カガミゴケなどを検討した。葉先に歯があり、葉の付き方が扁平でないことからナガハシゴケではない。葉が扁平ではないからカガミゴケとは考えにくい。
[修正と補足:2007.04.25] |
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