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[標本番号:No.117 採集日:2007/02/25 採集地:栃木県、栃木市] [和名:ヒモヒツジゴケ 学名:Brachythecium helminthocladum] | |||||||||||||
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鍾乳洞近くの石灰岩からはいろいろな種類のコケが出ていた。そのなかで、茎が這い、斜上する枝を密に出すコケを持ち帰った(a, b)。茎は不規則に羽状に分枝し、枝は長さ1〜2cm、葉は覆瓦状に丸く密につき、乾くと枝に密着するが(c)、湿っても、葉がわずかに茎から離れる程度で、全体の印象はあまり変わらない(d)。茎に毛葉はなく、仮根が多数みられる(e)。 茎葉は長さ2〜3mm、卵形で中央部が凹み、葉先は急に細くなり芒状となる。葉の上部には細かな歯があり(h)、中肋が葉長の3/4あたりまで延びる(f)。枝葉もほぼ同様な形のものと、長楕円形で先端が急激に細くなって芒となるタイプがある(g)。葉は茎葉よりやや小ぶりで、中央部の凹みが強く、縦にシワのみられるものもある。 葉身細胞は、茎葉も枝葉もほぼ同様で、葉先から中央部にかけては、細長い六角形で、長さ50〜70μm、幅8〜10μm(h, i)、翼部では薄膜方形の細胞からなる(j)。中肋部をみると、ステライドはあまり発達していない(k)。茎の表皮細胞は1層の薄膜の細胞、それに続くやや厚壁の細胞といった構造で、中心束はあまり明瞭には分化していない(l)。 アオギヌゴケ科だろうと判断し、検索表をたどるとアオギヌゴケ属におちる。つぎに種の検索をたどると、ヒモヒツジゴケ Brachythecium helminthocladum にたどりついた。さらに複数の文献で、種の記載を読むとほぼ該当する。それにしても、葉先の狭まり方が非常に特徴的だ。 |
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