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[標本番号:No.126   採集日:2007/02/25   採集地:栃木県、佐野市]
[和名:オオスギゴケ   学名:Polytrichum formosum]
 
2007年3月9日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 先月25日佐野市の山中から持ち帰ったコケの最後のひとつはスギゴケの仲間だ(a〜e)。現地でルーペで確認して、ほぼオオスギゴケに間違いなかろうと思ったが、確認のための検鏡をした。このため、葉身細胞のサイズなどは記録していない。したがって、検鏡写真も取りあげない。
 発生地は渓谷沿いの腐葉土の堆積した北側斜面で、同地にはコウヤノマンネングサヒノキゴケなどが群生していた。写真(a)の左下にもヒノキゴケの姿がみえる。
 採取した個体は、茎の長さ10〜15cmで、中には地中部分だけで10cm以上に及ぶものもあった(f)。葉の長さは、8〜12mm、葉身部は細長い披針形で、腹側には薄板が縦に密に並んでいる。葉の縁は内曲せず、先端が鋭く尖り、縁や背側には大きな歯がある(g〜i)。
 葉の横断面を見ると、腹側は一面に薄板におおわれている(j)。薄板は3〜5細胞の高さで、頂端細胞は円形で表面は平滑(k)、縦断面でみると、頂端部分は平滑である(l)。葉身細胞は丸みを帯びた多角形で、鞘部の細胞は長めの矩形である。
 乾燥すると葉が茎に密着し、湿ると大きく展開して反転すること、横断面での薄板の頂端細胞が円形〜楕円形、柔らかな腐植土から発生していること、などなどを考慮すると、オオスギゴケ Polytrichum formosum として間違いなさそうだ。
 今朝は、面倒くささが先に立って、葉の全体像、中央部や鞘部の葉身細胞、茎の断面などの写真は取りあげなかった。これらの写真まで取りあげると、あと4〜6枚ほどの画像処理が必要となって面倒だ。この次、朔をつけたものに出会った時にでも、詳細な写真を取りあげることになりそうだ。それにしても、薄板の縦断面での切断は難しい。