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[標本番号:No.139 採集日:2007/03/10 採集地:山梨県、道志村] [和名:ユミゴケ 学名:Dicranodontium denudatum] | |||||||||||||
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山梨県道志山地の標高950mあたりの杉林で、樹幹や地面、転石にシッポゴケ科らしきコケが群生していた(b)。同じように見えても、全く別種である可能性があるので、杉樹皮(a)、地面、石の上にでていたものをそれぞれ別にして持ち帰った。 三ヵ所からの標本はいずれも同一種と思われる観察結果を得たので、ここでは、代表して、杉の樹皮に着いていたものの観察結果を記しておくことにする。茎は1〜1.5cmで、あまり分枝はしない。乾燥すると巻縮するが(c)、湿らすとすぐに葉が茎から離れ、先が伸びた(d)。 葉は褐色透明な鞘部をもち、披針形の基部から、まっすぐに伸びる(e)。葉先の針状の部分には歯があり(f)、長さは5〜7mm。太い中肋が頂まで伸び、葉の基部では1/4〜1/3ほどの幅を占めるが、葉先の針状部では、ほぼ全体を占めている。 葉身細胞は、葉の基部から1/3あたりまでの部分では、丸みを帯びた矩形だが、葉先に近づくにつれて、丸みを帯びた不規則な形になる。いずれも細胞の表面は平滑で、厚膜である。翼部、つまり鞘の部分は薄膜・大型で透明な細胞からなる(h)。 葉の横断面を何ヶ所かで作ってみた。翼部(i)、中央部(j)、針先近く(k)のいずれも、ガイドセルの両側にステライドがみられる。さらに先の針部ではすべてが中肋だけとなる。茎の断面も確認してみた(l)。 シッポゴケ科には間違いなさそうだが、どの属だろうか。ユミゴケ属のユミゴケ、コブゴケ属のエゾノコブゴケ、オウギゴケ属のオウギゴケなども検討してみた。たとえば、ユミゴケ属のユミゴケとすると、「葉がおちやすい」という記述にあわない。以前ユミゴケとして扱ったものとは、乾燥時の姿がかなり異なる(覚書2007.2.17)。他の種についても同様に、いずれも図鑑の記述とはしっくりこない。シッポゴケ属でも同じ結果だった。
[修正と補足:2007.04.25] |
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