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[標本番号:No.146   採集日:2007/03/15   採集地:千葉県、香取市]
[和名:ヤマトフタマタゴケ   学名:Metzgeria lindbergii]
 
2007年3月23日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 桜の樹幹に着いていたコケのうち二股に分かれた苔類を観察した(a, b)。フタマタゴケの仲間らしい。茎は長さ1.5〜2cm、幅は1mm前後、中肋が中心を貫いている(c〜f)。中肋の腹面には仮根状の毛が2列に並んでいる(f)。腹鱗片が変化したとされる粘液毛も一緒に写っているのだろうか(f)。翼の縁には単生あるいは、双生の毛が散見される(e, f)。同じ株から二股に分かれた植物体にもかかわらず、縁に毛の多いものと、少ないものが混生している。
 フタマタゴケ科の苔では、雄器も雌器も中肋背面からでる短い枝に着くとある。検鏡した個体ではたまたま、雄枝がいくつもついていた(d, g)。この雄枝を含んだ面で横断面を切り出してみた(l)。確かに半球状に外曲している。葉身細胞は25〜35μmほどの多角形で、トリゴンはほとんど見あたらない(h)。細胞中には葉緑体が無数にあるが、油体は見られない。葉の横断面をみると、中肋の腹背面は大型の細胞が2列幅に並び、翼の縁にはしばしば毛がみられる(i〜k)。
 葉状体翼部は細胞数で10〜20の幅があり、縁に透明な毛をつけ、中肋の表皮細胞が背腹ともに2細胞といったことから、ヤマトフタマタゴケ Metzgeria lindbergii だろう。ただ、翼の縁の毛が非常に少ない。これも個体変異の範囲なのだろうと思う。