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[標本番号:No.152   採集日:2007/03/21   採集地:千葉県、君津市]
[和名:ナガサキホウオウゴケ   学名:Fissidens geminiflorus]
 
2007年3月28日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 千葉県君津市の城址公園の切り通しの途中から上に登る小径がある。暗く両側は何故か常にジメジメと湿っている。足下の左側をみるとホウオウゴケの仲間が葉を疎らにつけた状態で小さな群を作っていた(a, b)。
 茎は基部でわずかに分枝し、長さ3〜5cm、全体に濃緑色で、葉の先端が褐色になったものもあり(c)、乾燥すると巻縮する(d)。全体に硬くて脆く、厚ぼったい感触を受ける。
 葉は長舌形〜披針形で、長さ2〜3mm、葉頂は軽く尖り、細胞単位の微細な歯がある(e〜g)。葉の背翼の基部が長く茎に下延している(e, f)。中肋は葉の尖端近くまで達し、葉先近くで軽く蛇行するものが多い(g)。葉身細胞は丸みを帯びた多角形で、径3〜8μm、薄膜だが膨らみをもち、全体に暗い印象を与える(i)。  葉の横断面をみると、中肋にはガイドセルとステライドが目立つ(j, k)。葉の細胞はほぼ1層からなるが、背翼の所々に2層になった部分がみられる。茎の横断面をみると、表皮細胞は、厚壁の小さなものからなり、中心束はない(l)。
 葉の背翼基部が長く茎に下垂するという典型的な特徴をもち、中肋が葉頂に達し、しばしば蛇行し、葉身細胞がほぼ一層で丸みを帯びて暗いこと、などからナガサキホウオウゴケ Fissidens geminiflorus に間違いなさそうだ。