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[標本番号:No.154   採集日:2007/03/21   採集地:千葉県、君津市]
[和名:アブラゴケ   学名:Hookeria acutifolia]
 
2007年3月30日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 千葉県君津市の城址公園で、湿った遊歩道脇に白緑色の柔らかい印象のコケをみた(a, b)。ルーペで葉を見ると、とても大きな葉身細胞に驚いた。持ち帰った標本は少なく、そのうちの一本にだけ朔がついていた(c)。
 茎はやや斜めに立ち上がり、長さ2〜5cm、わずかに膨らんだような扁平な植物体で、葉を含めた幅は5〜8mm、密に重なり合った扁平な葉をつける。とても柔らかな印象を受ける。
 葉は卵形で、長さ2〜4mm、葉端はやや尖り、全縁で中肋はない(d, e)。葉の縁に舷はなく、基部にも分化した翼部はない。葉先に無性芽をつたものも少しみられた(d)。
 葉身細胞は長い六角形でとても大きく、葉の頂付近では長さ75〜100μmだが、葉の中心部(f)や基部(g)では長さ100〜160μほどもある。ルーペで葉身細胞がはっきりみえるはずである。葉の横断面をみると薄い細胞膜をもった大きな細胞が連なっている(i)。
 朔をつけたものが少なかったので、一般化はできないが、朔柄は赤褐色で長さ15mm、朔は水平〜やや下向きに傾いてつき、内外の朔歯は16枚ある。内外の朔歯は同じような長さで、外朔歯には横条がみられる(j〜l)。
 アブラゴケ Hookeria acutifolia に間違いなさそうだ。アブラゴケというと、巨大な葉身細胞を持つことで知られるようだ。クジャクゴケ科のキジノオゴケも巨大な細胞をもつというが、アブラゴケについて「国内で知られるコケの中で最大の葉身細胞を持つ」と記したものもある。