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[標本番号:No.157 採集日:2007/03/21 採集地:千葉県、君津市] [和名:コバノチョウチンゴケ 学名:Trachycystis microphylla] | |||||||||||||||||||
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小さな山の尾根スジを通る遊歩道脇に鮮緑色のコケが一面にでていた(a)。これまでに採取して観察したことのあるコケとはちょっと違っているように感じたので採取した。明るい鮮緑色の茎は立ち、朔を豊富につけている(b, c)。 茎は高さ2.5〜3cm、基部で分枝し、茎頂から2cmほどの朔柄を伸ばしている(d)。やや古い茎と新しい茎が雑居し、古いものは暗い色(e)、新しいものは明緑色(f)をしている。葉は乾燥すると強く巻縮し、楕円状披針形で(g, h)、太い中肋が葉先近くまで達し(i)、中肋上部の背面には顕著な歯がある(j)。葉の先端付近の縁には単生の歯があり、葉縁に舷はない(i)。 葉身細胞は、葉の中心部では類円形〜丸みを帯びた方形で径8〜15μm、厚い壁を持ち、翼部では矩形で長さ40〜60μm、幅6〜12μmに及ぶ(k)。細胞には乳頭があり、葉の横断面をみると顕著にわかる(l)。中肋の中央にはガイドセルがあり、その周囲を厚壁の細胞がとりまいている(m)。茎の横断面をみると、表皮部分の細胞の壁が肥厚している(n)。 成熟した朔をつけていたので(o)、蓋を外してみると(p)、16枚の朔歯が2列にならんでいる(q)。外朔歯に横条があり、先端付近には疣がある(r)。ここまで観察している途中でコバノチョウチンゴケ Trachycystis microphylla の若い株だろうと見当がついたので、内朔歯などのていねいな観察はやめにした。それにしても、春先のコケは美しい。 |
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