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[標本番号:No.167 採集日:2007/03/31 採集地:群馬県、藤岡市] [和名:ケゼニゴケ 学名:Dumortiera hirsuta] | |||||||||||||
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林道に流れ込む支沢が小さな滝状になっていた(a)。そこに葉状体のコケがまるでワカメを思わせるような姿で多数ついていた(b)。 葉状体は尖端で二叉状に分枝し、中肋部が背面からわずかに透けて見え、中肋部から遠ざかるにつれ、翼部は徐々に薄くなっている(c)。長さ4〜10cm、幅8〜12mmで、腹面には中肋部にそって多数の仮根が見られる(d)。 腹鱗片を確認するにあたって、仮根が多数着いている状態だと分かりにくいので(d)、仮根の少ない部分を選んだ(e)。どうやら中肋部から左右に糸状に出ている毛が腹鱗片らしい。この毛は多細胞からなっている。 葉の横断面をみると(g)、背面の表皮細胞は薄壁でトリゴンは無く(h, j)、中間の細胞は葉緑体が少なくてとても大きく、碁石のような形の油体をもっている(h, k)。腹面の細胞は背面の表皮細胞よりやや大きく、葉緑体を豊富にもっている(l)。翼部の縁は多少波打っているが、横断面をみると、いずれも端まで多細胞からなっている(i)。生殖器をつけたものがないか、さんざん探してみたが、結局見つからなかった。
仮にミヤマミズゼニゴケ?としたが、実はどの科、どの属に所属する苔類なのか全くわからない。1細胞中に多数の葉緑体があり、さらに油体もあるから、ツノゴケ類の可能性は全くない。有紋型の仮根が無いから、ゼニゴケ亜綱ではない。そうなると、ウロコゴケ亜綱のフタマタゴケ目ということになる。そこで、それらの科の記載をひとつずつ排除していくことにした。
[修正と補足:2007.04.25] |
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