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[標本番号:No.165 採集日:2007/03/31 採集地:群馬県、南牧村] [和名:アオハイゴケ 学名:Rhynchostegium riparioides] | |||||||||||||
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残雪の残る林道を走っていると、氷の張った涸れ沢にコケが着いていた(a, b)。石や落ち葉の下には細やかな水流があった。黄緑色の若い新芽を多数つけた茎が、地下を這う茎から一斉に立ち上がっていた(c)。ルーペでみると、放射状についた丸い葉が水滴をたたえている。 茎は不規則に分枝し、1〜2.5cmほどの枝をだす(d)。枝の脇から朔を伸ばしたものも多数ついていた(e)。新芽は黄緑色だが、それ以外の葉は暗緑色をしている。茎葉も枝葉もいずれも、円形〜広卵形で(f)、葉頂は鈍頭でわずかに尖り、全周にわたって小さな歯がみられる(g)。 中肋は葉長の2/3〜3/4あたりで終わり、中肋の表面は平滑である。葉の横断面をみると、基部近くの中肋は幅広く厚みもあり、厚膜の小さな細胞がみられるが(j)、葉の中央部あたりでは、かなり貧弱となる(k)。その先では横断面に中肋はみられない。 葉身細胞は、葉頂付近では長めの菱形であるが、葉身の大部分ではやや蛇行した線形〜長い菱形で、長さ60〜85μm、幅6〜10μm。葉の基部では、長さ55〜70μm、幅20〜35μmの大きな矩形をなす。葉身部の細胞膜はやや厚い。茎の表皮細胞は、厚壁の小さい(l)。 茎葉の観察をした結果を撮影してはみたが、泥汚れのせいか、形は崩れ全体が褐色を帯びていた。それに対して、枝葉は汚れも少なく、葉の崩れもほとんどなかった。形や葉身細胞は、茎葉も枝葉もほとんど変わらない。そこで、ここでは枝葉だけを取りあげた。
典型的なアオハイゴケ Platyhypnidium riparioides らしい。図鑑の [note] に「本種をどの属に入れるか、いろいろな意見がある」とわざわざ記されているように、確かに他のハイゴケ属の蘚類とはかなり違うように感じた。学名もそれを示唆しているかのようだ。
[修正と補足:2010.04.15] |
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