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[標本番号:No.169 採集日:2007/04/04 採集地:埼玉県、さいたま市] [和名:ナミガタタチゴケ 学名:Atrichum undulatum] | |||||||||||||
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荒川の河川敷にある秋ヶ瀬公園は、4月初めの頃ソメイヨシノが花盛りだった。ふと樹下をみると、雨上がりのせいで美しい緑色の絨毯を広げているコケがあった。ホウオウゴケの仲間とタチゴケの仲間(a, b)があちこちに群落をなしていた。 タチゴケの仲間には、ひとつの群の中に背丈がかなり違うものがあり、おおざっぱに3通りのタイプに分けられた。背丈は小さい方から1〜1.2cm、1.5〜2.5cm、3〜3.5cmほどだ(c)。葉の様子、葉身細胞、横断面の薄板などは、どのタイプでも同じだった。 葉は柔らかく、長さ6〜8mmの披針形で、乾燥すると巻縮する(d)。葉の表面は波打ち、横シワがあるように見え、中肋部から葉縁にかけて、裏面にはシワに沿って歯がある。葉縁には2〜3列の厚壁の細長い細胞からなる舷がある(f)。中肋部腹面には4〜5枚の薄板がある(d, e)。 葉の縁の歯は対になっていて、葉縁近くの葉身細胞は10〜15μmと小さく(g, h左)、葉の中央部から基部にかけての葉身細胞は、15〜25μmと大きい(h右)。葉の横断面を上記3タイプのそれぞれについて7〜10ヵ所、総計で25ヵ所ほど切り出してみた。中肋腹面にある薄板にも3タイプが混在している。薄板のないものやら(k, l)、1〜2細胞長(j)、3〜5細胞長(i)である。
最初に横断面を切り出した葉には薄板が全くなかった(k)。しかも、この葉では、葉身細胞の大きさが10〜15μmほどしかなく、葉縁の歯が双生についていた(g)。そこで、これはナミガタタチゴケではなく、ヤクシマタチゴケかもしれないと思った。そこで、あらためて植物体を背丈で分けると、3タイプがあることがわかった。そこで、それぞれのタイプについて、舷の様子、葉縁の歯、波打部背面の歯、中肋横断面の様子を確認することになった。 |
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