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[標本番号:No.187 採集日:2007/04/07 採集地:栃木県、日光市] [和名:クモノスゴケ 学名:Pallavicinia subciliata] | |||||||||||||
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鬼怒川沿いの支流の沢が注ぎ込む崖はいつも濡れていて、いろいろなコケが着いていた(a)。その中でも最も広く崖を占有していた緑色の苔類を観察してみた(b)。印象としては細切りにしたワカメである。葉状体は長さ2.5〜6cm、幅4〜7mm、二叉状に1〜2回分かれる(c)。 葉状体の先端からは仮根が出ている。葉状体の中肋は明瞭で、背腹に著しく膨らむ(d)。葉状体の側縁をみると、細長い毛状の歯があり(e)、これは多細胞の列からなっている(f)。翼部の葉身細胞は多角形で、長径50〜85μm、トリゴンはほとんど見られず、紡錘形で表面がざらついた油体を、1細胞あたり10〜20個ほどもつ(g)。 葉状体の横断面をみると、中肋の中心部には髄のように組織が分化している(h〜j)。翼部は1層の細胞からなり(h)、中肋部の表皮も特に分化していない(i)。中肋腹面には所々に仮根がついている(k)。仮根はすべて平滑なものだけからなる(l)。 わずかに中肋に雄器がついていたが、雌器をつけた株や、朔をつけた株はみられなかった。クモノスゴケ Pallavicinia subciliata に間違いなさそうだ。こういう特徴的で他に間違いやすい種もないコケは、そう多くはないのだろう。 |
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