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[標本番号:No.178 採集日:2007/04/07 採集地:栃木県、日光市] [和名:アツブサゴケ 学名:Homalothecium laevisetum] | |||||||||||||
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栃木・福島県境の沢に沿って続く林道で、標高860mあたりでやや硬い感じのコケが、あちこちの樹幹に広範囲に着いていた(a, b)。見えない下部で茎が横に延び、そこから枝分かれしている。立ち上がった枝には葉が密につき、それが乾燥して枝に圧着している(c, d)。 湿らせてみると、葉が枝から離れ、色もやや明るい緑色となった(e)。茎は長さ2〜8cmほどあり、そこから出る枝は長さ2〜3cmほどになる。葉は密に放射状につき、狭い三角形ないし卵状披針形で、細く尖った葉先をはじめ(g)、葉縁には微細な歯がある(h)。中肋は葉長の3/4〜2/3あたりのところで消え、先端の背面には歯がある。葉には縦皺が見られる(f)。 葉身細胞はウジ虫状から紡錘形で、長さ25〜35μm、幅3〜7μm、平滑で厚い壁をもち(h)、基部の細胞は厚壁の丸みを帯びた方形(i)。葉の横断面をみると、中肋にステライドは見られない(j)。茎や柄の表皮細胞は厚壁の小さなもので、中心束がわずかにみられる(k)。 葉の横断面を水で封入するとやたらに水泡がはいるので、10枚ほどの葉をまとめて切ってみた(l)。やはり水泡が抜けない。写真で黒い部分は水泡である。どうやらアオギヌゴケ科のアツブサゴケ Homalothecium laevisetum らしい。 |
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