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[標本番号:No.192 採集日:2007/04/29 採集地:栃木県、日光市] [和名:ホソバミズゴケ 学名:Sphagnum girgensohnii] | |||||||||||||
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ゴールデンウイークの前半、4月29日に奥日光を歩いてきた。標高1,400mほどのカラマツとハルニレ混交林で、なんとミズゴケの仲間に出会った(a)。林床のやや陰湿な場所ではあるが、湿原とはほど遠い。アオギヌゴケ科やシノブゴケ科の蘚類と絡み合ってでていた。 植物体は4〜8cmで細長く、緑色〜褐色の群落を作っている。側方に出る枝より、茎に沿って垂れ下がる枝の方が長い(b)。茎葉は少なく、茎に密着し、先端だけがわずかにささくれている(e)。枝葉の先はやや尖り、途中から反り返る(c, f)。枝葉の先端は切頭状で、葉縁には2層の細長い細胞からなる舷がある(h)。枝葉の上半部の葉身細胞には類円形の孔がある(g)。葉身の透明細胞は薄い膜で複数の部屋に仕切られている(h, i)。 枝葉の横断面をみると、葉緑細胞は背腹の両側とも表面にでていて、こころもち腹側が広く開いている(j, k)。茎の表皮細胞には螺旋状の肥厚などはみられない(d)。茎と枝の横断面をみると、両者とも表皮細胞は薄膜の大型細胞だが、茎では2層、枝では1層である(l)。
ミズゴケ科の検索表をたどってみた。茎の表皮細胞に螺旋状の肥厚がないから、オオミズゴケ節ではない。さらに、枝葉の先端が狭く、横断面で葉緑細胞が両側で表面にでていること、茎に沿って下垂する枝は側方に拡がる葉よりも長いことから、ホソバミズゴケ節と思われる。
[修正と補足:2008.12.07] |
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2007年5月頃には保育社『原色日本蘚苔類図鑑』でミズゴケ類を調べていた。同図鑑には、15種が掲載されている。一方、平凡社『日本の野生植物 コケ』には、29種6変種が記されている。さらに節 Sect. の名称も2つほど異なっている。平凡社図鑑のミズゴケ節 Sect.
Sphagnum を保育社図鑑ではオオミズゴケ節 Sect. Palustria、スギバミズゴケ節 Sect. Acutifolia を保育社図鑑ではホソバミズゴケ節(学名は Sect. Acutifolia で同じ)と記している。 | |||||||||||||