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[標本番号:No.227   採集日:2007/05/05   採集地:福島県、いわき市]
[和名:ムチゴケ   学名:Bazzania pompeana]
 
2007年5月11日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 5月5日福島県いわき市の夏井川渓谷で、大きな岩と腐植土にまたがって、フカフカのマット状に苔類が広がっていた(a)。鞭のような形の枝もみられる。
 茎は長さ8〜10cmで、葉を含めた幅は3.5〜5mm、二叉状に分枝し、腹側の茎からは鞭枝が出る(b, c)。葉は倒瓦状に重なり、舌形で先端が三裂し、茎幅の1.2〜1.5倍ほどの幅の腹葉をもつ(d, e)。腹葉は丸みを帯びた方形で茎に接し、先端は裂片となり歯をもつ(e, h)。鞭枝は長く、腹側の腹葉の脇から伸び、丸みを帯びた葉を接在させる(e, k, l)。
 葉先の裂片の先は歯牙となり(f)、葉身細胞は丸みを帯びた多角形、やや厚めの細胞膜をもつ。位置により細胞の大きさにはかなり幅があり、合焦位置により、トリゴンの大きさはまるで変わってみえる(g)。油体は楕円形〜類円形で、各細胞に5〜8つある。
 複葉は透明で、葉身細胞には葉緑体が少なく、中央から先端では内容物は空で、基部には葉緑体も油体もある(i)。茎と鞭枝の横断面を切り出してみた。両者とも似たような構造で、ほぼ一様に、厚膜の小さな細胞からなっている。

 たぶん典型的なムチゴケ Bazzania pompeana なのだろう。残念ながら、包容や雌花、雄花などをつけた個体はみられなかった。また、葉の縁あるとされるベルカは確認できなかった。