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[標本番号:No.237 採集日:2007/05/20 採集地:群馬県、水上町] [和名:ウチワチョウジゴケ 学名:Buxbaumia aphylla] | |||||||||||
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今週の日曜日(5/20)、強い風と雨の中を上州武尊岳中腹1,400メートルあたりのブナ林を歩いた。ブナの根本に特異な姿の朔を見つけた(a, b)。シッポゴケ属やウチワチョウチンゴケ属などの間から、朔だけを伸ばしていて、茎や葉は見られない。 胞子体は高さ12〜16mm、朔柄は赤褐色でまっすぐに立ち、表面は乳頭に覆われている(d)。朔は傾いてつき、長さ4〜5mm、上下に押し潰されたような姿で、上面はほとんど平らで、側部は明瞭な稜をなして角張っている。朔の蓋は先の丸い円錐形で上を向いている。 今回観察できた個体は、いずれも朔歯は未成熟で、蓋と朔を分離させることはできず、切ってみても朔歯はできていなかった。柄の基部は赤色の糸状のものにおおわれる(e)。原糸体あるいは仮根なのだろうか(f)。朔柄の表面の乳頭(h)、朔柄の縦断面(h)、朔柄の横断面(i)、朔の表面(j)などを検鏡してみた。残念ながら、朔歯と胞子の観察はできなかった。 キセルゴケ属のウチワチョウジゴケ Buxbaumia aphylla だろう。別名をキセルゴケというらしいが、朔の形はたしかにキセル(煙管)を思わせる。いちど出会って見たいと思っていたコケのひとつだった。この次は朔歯や胞子などを観察できるような個体に出会いたいものだ。 |
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