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[標本番号:No.226   採集日:2007/05/05   採集地:福島県、いわき市]
[和名:シダレヤスデゴケ   学名:Frullania tamarisci ssp. obscura]
 
2007年5月25日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 さる5月5日福島県いわき市の夏井川渓谷で大きな岩に厚いマットをなして垂れ下がる苔類をみた。ニスを引いたようなツヤがある(a, b)。一株を引き抜いてルーペでみると、倒瓦状に葉をつけ、特徴的な腹片と二裂する腹葉をもっている(c)。ヤスデゴケ属の苔類らしい。
 念のために、枝の一部をとって、実体鏡(d)、顕微鏡(e)でみた。葉の背片は卵形で全縁、先端は急にとがり(j)、やや内曲する(f)。背片の基部は耳状となり茎に被さっている(g)。葉の中央には顕著な眼点細胞が縦に並ぶ(f, k)。眼点細胞は葉先近くにもみられる(l)。
 腹片は細長い円筒形で、茎から少し離れ、開き気味に茎とほぼ平行(d, e, h)。複葉は茎幅の2.5〜3.5倍の幅、類円形で先端が1/4ほどまで2裂する(i)。葉身細胞は、12〜25μm、丸みを帯びた多角形〜矩形〜不定形、厚膜、トリゴンはやや大きい。

 ルーペでみている最中に、先日観察したシダレヤスデゴケとほぼ同じであることに気づいたが、とりあえず先入観を捨てて観察してみた。結果はシダレヤスデゴケとしてよさそうだ。先日のものと比較してマットを作る層が格段に厚く、ひとつ一つの個体がひとまわりほど大きい。しかし、葉のサイズや、枝分かれのようすなどはほとんど同じだった。