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[標本番号:No.250 採集日:2007/06/02 採集地:栃木県、日光市] [和名:ヒムロゴケ 学名:Pterobryum arbuscula] | |||||||||||||
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今月第1週の土日に行われた岡山コケの会関東の日光撮影会の折りに、いくつかのコケ採取したが、今日はそのうちのひとつを観察した。 社寺の石囲い壁に群生していたコケは、細くて硬い一次茎が石の上を這い、二次茎が立ち上がって、そこから規則的に羽状に枝をのばしている(a)。外見からは、ヒムロゴケのように見えたが、自分にとっては未知・未観察の蘚類なので、ていねいに調べてみた。 乾燥すると、茎や枝は巻き込むようになるが(b)、葉はほとんど縮んだり丸まったりしない(c)。ルーペで見ても乾湿によって葉の状態があまり変化しないことがわかる(d)。 一次茎の葉は崩れていて、全体像がつかめない。二次茎の葉は、枝葉とほぼ同じような形と大きさで、長さ2mm前後、卵状披針形で、先端は鋭く尖り、葉先の縁には大きめの歯がある(e, g)。中肋が葉長の3/4あたりまで伸び、葉の上半部の縁には微細な歯がある(i)。 葉身細胞は、葉先付近では菱形(g)、葉身の大部分では、長楕円形〜長い多角形で、長さ20〜30μm、幅3〜5μm、やや厚い細胞膜をもつ(h)。翼部は明瞭な分化はせず、楕円形でやや幅広の褐色の細胞が並ぶ(g)。 中肋は茎葉も枝葉も同じように、ステライドの発達はわるく、全体に偏平気味である(j, k)。枝の横断面をみると、表皮細胞は厚膜小形で、中心束は見られない(l)。 ヒムロゴケ Pterobryum arbuscula で間違いなさそうだ。図鑑によれば、ヒムロゴケは一属一種のこけだとされる。特徴的なすがたをした蘚だと感じた。 |
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