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[標本番号:No.248 採集日:2007/06/03 採集地:栃木県、日光市] [和名:エゾチョウチンゴケ 学名:Trachycystis flagellaris] | |||||||||||||
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6月初めに行われた岡モス関東の日光合宿の折りに採取したコケが、まだ数点、未観察状態で残っている。そのうちからチョウチンゴケ科の蘚を観察してみた。日陰の腐った切り株上を一面に被っていた(a)。茎の先端に細長い枝状の無性芽を多数つけ(a, c〜e)、ルーペで見ても葉の表面が非常にざらついている(f)、といった際だった特徴がある。
茎は立ち上がり、長さ2〜4cm、枝分かれはごくわずかで、先端の無性芽は長さ2〜4mmで雌雄の生殖器官の直下からでる(c, d)。不稔の茎では、先端に無性芽はみられず、葉は茎の左右に偏平につき、匍匐気味にしなだれる(b)。 |
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葉身細胞の乳頭は、葉の横断面をみると鮮明である(m)。葉の基部以外では中肋断面はほぼ類円形で、厚い細胞壁をもつ(n)。茎の断面をみると、表皮細胞は厚壁で小さい(o)。 枝状の無性芽の表面には三角形の葉が疎らについている(p〜r)。無性芽を横断面で切ってみると、若い茎を思わせる構造で、葉は中肋様のものが幅の大部分を占める(s)。 朔は既に蓋を失い、朔歯も欠損していた(t)。しかし、朔歯は二重で、16枚の裂辺からなる(u)。外朔歯は単純な構造だが(x)、内朔歯は上部に穴があり先端は小乳頭に被われる(v, w)。 冒頭に記した特徴的から、直ちにエゾチョウチンゴケ Trachycystis flagellaris にたどり着いた。無性芽をつけていたことが、容易に種名にたどり着くのに大きく役だった。しかし、無性芽をつけていなくとも、葉身細胞の大きな乳頭、葉縁の舷と双生の歯が同定を容易にしてくれる。 |
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