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[標本番号:No.328 採集日:2007/08/26 採集地:長野県、小海町] [和名:フウリンゴケ 学名:Bartramiopsis lescurii] | |||||||||||||
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北八ヶ岳白駒ノ池周辺の針葉樹基部の樹幹から周辺の岩にかけて、スギゴケ科を中心として、何種類かのコケが大きな群落を作っていた(a)。群落の最優占種は、繊細な葉をもった小型のスギゴケ科の蘚だった(b)。直立した朔をつけた個体もいくつかあった(標高2,100m)。 茎は細く赤褐色で、高さ2〜4cm、下部には葉をつけず、乾くと葉が軽く縮む(b, c)。葉は、長さ3〜6mm、透明な鞘部から大きく曲がって披針形に伸び、葉縁には牙状の歯、鞘部の縁には数本の長い多細胞の毛がある(d, e, g)。毛の表面には微細な乳頭がある(f)。 葉身細胞は、葉の大部分では多角形〜矩形で、長さ5〜15μm、表面は丸みを帯びる。鞘部では長い矩形で、長さ30〜70μm、幅4〜8μm、平滑(h)。葉には中肋の腹面にのみ5〜8枚の薄板があり、薄板表面には牙状の歯がある。葉の横断面をみると、薄板は5〜9細胞の高さで、先端細胞の先に牙状の歯をつけたものもある(i, j)。葉身細胞は表面が膨らんだ2層の細胞からなるが(i〜k)、鞘部では1層である(l)。 |
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ごく一部の個体が朔をつけていた。朔柄は長さ1〜1.5cmで、帽は短く、蓋は嘴状。朔は釣り鐘型。蓋をはずすと、朔口を覆う口膜がみられるが、朔歯はない(m〜p)。胞子は意外と小さく、表面は微細な突起に覆われている(q)。朔柄の断面には中心束がみられる(r)。 保育社図鑑で、スギタケ科の検索表にあたると、最初に書かれた「1. 朔歯を欠く。葉の鞘部の縁に数本の長い毛が並ぶ。茎は繊細」がピッタリ一致する。無条件にフウリンゴケ属に落ちる。フウリンゴケ属の項をみると「日本産1種」とあり、フウリンゴケ Bartramiopsis lescurii だけが掲載されている。説明を読むと、観察結果とほぼ一致する。なお、平凡社図鑑でも、保育社図鑑とほとんど同じ内容が記され、1属1種とある。 |
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