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[標本番号:No.336   採集日:2007/09/15   採集地:群馬県、嬬恋村]
[和名:ニワスギゴケ属   学名:Pogonatum sp.]
 
2007年9月28日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 9月15日に長野・群馬県境にある湯ノ丸山に登った。山頂(標高2,099m)の岩の隙間や、岩の上に小さなスギゴケ科の蘚類が群落をなしていた(a〜c)。茎は高さ1.5〜2cm、上部には若い大きな葉が集中してつくが、下部にも茶褐色の古い葉が多数ついている(d)。乾燥すると、全体が内側に巻き込むように、上部の葉は内側に巻き込み、下部の葉は茎に圧着気味に巻き込む(e)。
 葉は長さ2〜3mm、褐色透明の広い鞘部から、いったん軽くくびれるように細くなって、太めの披針形で伸び、葉縁には牙状の歯があり、葉身全体にボテっとした厚みがある(c, f, g)。
 薄板は葉の腹面全体を覆い、横断面でみると、5〜8細胞の高さがあり、端細胞は台形で上面は平面的かやや凹む(h, i)。縦断面では、上面は丸みを帯びた端細胞が並んでいる(j)。葉の腹面上部からみると、薄板表面はほぼ楕円形で密に並ぶ(k)。鞘部の細胞は矩形(l)。

 観察結果に基づいて平凡社図鑑のスギタケ科の検索表をたどると、ニワスギゴケ属となる。ニワスギゴケ属の種への検索表をたどると、葉縁は1細胞層で、薄板の端細胞はほぼ平滑で、側面から見ると上縁に凸凹があることから、候補はかなり絞られる。
 候補として残るのは、コスギゴケ、ヒメスギゴケ、シンモエスギゴケの3つとなる。コスギゴケにしては、薄板の上端細胞の形が違うように思う。となると、ヒメスギゴケとシンモエスギゴケが残る。平凡社図鑑の検索表(p.45)にある「葉は乾いても同方向を向かず」「葉は乾くと同方向を向き」という表現がどういった様子をいっているのかはっきりしない。
 同方向か否かは棚上げにしても、鞘部の端はややくびれたように見えるものが多く、葉の幅は下部と上半部の中程が最も広いように見える。しかし、葉の先端はやや鋭頭と思える。発生環境をみると、ヒメスギゴケよりもシンモエスギゴケの可能性が高い。葉の縮れ方は、何となくヒメスギゴケとは違うように感じる。薄板の高さは、ヒメスギゴケにしては高すぎる。しかし、経験不足のため、ヒメスギゴケかシンモエスギゴケか判定できない