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[標本番号:No.302 採集日:2007/08/22 採集地:山梨県、鳴沢村] [和名:ミヤマチリメンゴケ 学名:Hypnum plicatulum] | |||||||||||||
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8月に富士山に出かけたときに採取したコケがまだいくつか、未観察のまま放置されている。そのうちのひとつ、標高1,900m付近の腐木や岩についていた小型の蘚(a)を観察してみた。乾燥しても、姿はほとんど変わらない(b)。水没させると、広範囲に虫の糞のらしいものが多数ついている(c)。やや綺麗な状態の茎を使って観察することにした(d)。 茎は這い、長さ3〜8cm、やや規則的に短い枝を左右に出す。さらに羽状に支枝を出す枝もあり、枝の長さはおおむね、3〜5mm、偏平気味に葉をつける。 茎葉は長さ0.8〜1.6mm、狭い三角形〜卵形の葉身部から長く芒状に尖り、著しく鎌状に曲がり、基部はやや丸みを帯びる(e, g)。芒の部分と葉上部の縁には微歯がみられ、中肋は二叉して短いか、不明瞭である(g)。 茎葉の葉身細胞は、葉身部中央付近では、線形で長さ30〜70μm、幅3〜4μm(i)、翼部の細胞はほとんど分化せず、薄膜で透明な細胞がみられる(j)。基部の細胞はやや短く幅は広い。 枝葉は茎葉よりやや小型で、芒状の先端部は強く鎌形にまがり、葉身細胞や基部の様子などは、茎葉とほぼ同様である。茎葉と比較すると、葉の基部の丸みがやや弱い(f)。 茎を横断面で切ってみると、表皮細胞は薄膜で大形の細胞からなり、中心束の発達は悪い(k)。枝の横断面では中心束はほとんど確認できない。枝の先端部で若い葉が集中している部分をまとめて切り、横断面を見た(l)。
種名をミヤマチリメンゴケ Hypnum plicatulum としたが、まったく自信はない。観察結果を平凡社の図鑑にあてはめてみると、ハイゴケ科に落ちる。属への検索表をたどると、ハイゴケ属に落ちる。さらに種への検索表をたどると、茎の横断面でみた表皮組織から、かなり絞ることができる。平凡社図鑑からはミヤマチリメンゴケに落ちる。 |
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