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[標本番号:No.360 採集日:2007/10/12 採集地:奈良県、上北山村] [和名:キヒシャクゴケ 学名:Scapania bolanderi] | |||||||
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奈良県の大台ヶ原駐車場(標高1,600m)に続く遊歩道を歩いていると、ツキヨタケのついたブナ倒木があった。そのすぐ脇の腐朽木に苔類が大きな群落を作っていた(a)。 茎は、長さ3〜7cm、斜めに立ち上がり、わずかに分枝する。葉は重なり合ってつき、背片は腹片よりずっと小さく、卵形〜方形〜三角形で、長さ1〜1.2mm、縁には小さな歯が多数あり、腹縁基部は、あまり茎に流下しない(b, d)。腹片は、卵形〜楕円形で、長さ2.5〜3mm、先端は軽く尖り、縁には小さな歯が多数あり、腹縁基部は茎に流下する(c, d)。キールは短く、葉腋内側には、先が分岐し尖った毛葉のようなものがある(f)。複葉はない。 葉身細胞は、類円形〜丸みを帯びた多角形で、長さ20〜30μm、膜は薄く、トリゴンは場所によっては大きいが、多くは不明瞭である(e)。葉縁の細胞では膜は厚くなった部分もある。油体は、碁石形〜楕円形で、1細胞につき4〜8個あり、微細な粒子の塊状である。花被は偏平だが、写真などは撮影しなかった。 背側の裂片が腹側の裂片より著しく小さく、複葉をもたないことから、ヒシャクゴケ科の苔類だろう。科の検索表をたどると、ヒシャクゴケ属となる。属の検索表をたどると、キヒシャクゴケ Scapania bolanderi となった。種の解説を読むと、観察結果とほぼ一致する。 |
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