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[標本番号:No.355 採集日:2007/10/12 採集地:奈良県、上北山村] [和名:キヨスミイトゴケ 学名:Barbella flagellifera] | |||||||||||||
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10月12日奈良県で、川に沿った薄暗い林道を走っていると、ガードレールから垂れ下がるコケが印象的だった(a〜c)。車を停めて採集した。高度計は330mを指していた。 ガードレールから垂れ下がるコケの一次茎は、長さ30cmを超えていた。二次茎は5〜12cm、不規則に分枝して、ガードレールから垂れ下がっていた(c, d)。葉を含めた茎の幅は1〜2mm、葉には絹状のツヤがあり、二次茎の葉も枝葉もほぼ同じような形で、枝基部の葉と茎葉は、大きさもよく似通っている。ここでは、枝中央部の葉を観察に用いた。 枝葉は、長さ1.5〜2mm、卵状基部から漸次細くなって延び、先端は芒状となっている(g〜i)。葉の中肋は弱々しく、葉長の中央付近で消え、葉縁には全周にわたって微細な歯がある。高倍率ルーペで葉をみると、表面がざらついてみえる。 葉身細胞は線形で、長さ50〜75μm、幅5〜8μm、細胞中央に一つの乳頭がある(j, k)。翼部では、葉身細胞は方形〜矩形で、長さ10〜30μm、幅15〜20μm、やや厚膜である(l)。高倍率ルーペで葉裏面がざらついてみえたのは、乳頭のせいなのだろう。 |
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葉身細胞中央にある乳頭の部分を捉えて切断したかったので、葉の横断面を何枚も切り出した(m〜q)。葉全体は崩れやすく、中肋はとても弱々しい。横断面でみると、葉身細胞は円形のパイプ状で、乳頭は大部分が葉身細胞背面にあるが、腹面に乳頭をもつ細胞もある。 あらためて、枝葉をよくみると、いずれも全周にわたって微歯がある。芒状になった部分の直下から翼部にいたるまで、途切れることなく微歯がみられる(s〜u)。図鑑によれば、キヨスミイトゴケでは「葉先近くの縁には小さな目立たない歯がある」とされる。
植物体全体のすがた、枝葉や茎葉の形、葉身細胞が中央に一つの乳頭をもつこと、などからキヨスミイトゴケだろうと考えた。しかし、あらためて図鑑のキヨスミイトゴケについての説明を読むと、細胞の大きさ、葉縁の微歯が観察結果と異なることが気になった。 |
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