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[標本番号:No.369 採集日:2007/10/27 採集地:栃木県、日光市] [和名:ユガミチョウチンゴケ 学名:Trachycystis ussuriensis] | |||||||||||||
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10月末の川俣温泉(標高1300m)の腐植土に暗緑色のコケが群生してい(a)。まるで杉の枝先のような硬い感じを受けた。茎の長さは3〜4cm、葉を密につけ、全体が一方に湾曲している(b)。一部には、枝分かれし明色の葉をつけた若い枝を出している。乾燥すると軽く縮み、枝は弓の様に一方に曲がる(c)。 葉は卵形〜卵状披針形で、長さ2.2〜2.8mm、上半部には縁に単生の小さな歯をもち、太い中肋が葉頂にまで達する(d, e)。分枝した先についた明るい色の若い葉は、ほとんどが非相称で片側に湾曲する(f)。いずれも、中肋背面には顕著な牙状の歯が疎らにある(g)。 葉身細胞は、葉先から基部までほとんど同じ形と大きさであり、方形〜多角形ないし類円形で、長さ8〜16μm、ほぼ平滑である。何枚かの葉をまとめて横断面を切り出してみた。葉の縁は1層で、中肋は太くしっかりしている(j, k)。葉の腹面をよくみると、細胞表面が凸レンズ状にわずかに膨らみをもっている(k)。茎の横断面をみると、厚壁で小さな細胞が表皮を構成している(l)。 チョウチンゴケ科の蘚類だろうと推測した。朔をつけていないが、検索表をたどると、どうやらコバノチョウチンゴケ属らしい。さらに属の検索表をたどると、葉縁に舷がなく、葉は単生、無性芽をもたない、葉身細胞に乳頭がないこと、などからユガミチョウチンゴケが候補に残った。ユガミチョウチンゴケについての説明をいくつかの図鑑にあたってみると、観察結果とほぼ一致する。なお、保育社図鑑では学名に T. immarginata をあてている。平凡社図鑑で、[分布] に「北海道,四国」とあるのは、「北海道〜四国」の誤りだろうと思われる。 |
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