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[標本番号:No.326 採集日:2007/08/26 採集地:長野県、小海町] [和名:ホソバミズゴケ 学名:Sphagnum girgensohnii] | |||||||||||||
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今年(2008年)2件目のミズゴケ観察である。昨年長野県北八ヶ岳白駒の池近く、標高2,100m付近の、モミ・シラビソの樹林を通るジメジメした径脇に、スギゴケ類やイワダレゴケ等に混じって群生していた(a, b)。全体は淡黄緑色で枝は細い。茎は緑褐色〜茶褐色で、長さ8〜15cm(c)、茎の表皮細胞は矩形で表面に孔が1つあり(k)、横断面で3〜4層となっている(l)。 下垂枝は開出枝よりやや長く(d)、茎の上部〜中部では、下垂枝の方がずっと長い(e)。茎葉は、広舌状で、長さ0.9〜1.2mm、先端は総状となってささくれる(f, g)。茎葉の透明細胞は、全体に膜壁が少なく(j)、葉先付近ではほとんどない(i)。側面の舷は基部では大きく広がる(h)。 |
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枝葉は、卵状披針形で先端は僧帽状となって切頭、長さ1.3〜1.6mm。茎葉の透明細胞を、腹側上部(o)、腹側中央部(p)、背面上部(q)、背面中央部(r)で確認した。背面中央部の透明細胞の縁には、類円形の貫通する孔が整然と並ぶ。倍率を上げて合焦位置を変えてみると、さらに明瞭となる(s)。透明細胞の貫通する孔は、葉の上部や縁部では高頻度でみられるが、腹面中央部では少ない。枝葉の横断面をみると、葉緑細胞は楕円形〜台形で、底辺は腹側にある(v, w)。枝の表面は、筒先の短い孔をもった1層の細胞に囲まれる(t, u)。大形のレトルト細胞はない。 朔をつけた個体がいくつかあったが、暗褐色の朔はすっかり空で、朔壁しか残っていなかった(x)。一方、まだ未成熟で緑色の朔をつけた個体も見られた。 定石通り、最初に1本の個体を、サフラニン水溶液に水没させ、赤く染まった個体を中心に、茎葉や枝葉の透明細胞の様子を観察した。実体鏡の下で、茎から枝や葉を取り外し、さらにピンセットを用いて、枝から枝葉をこそぎ落とした。指先までがサフラニンで赤く染まる。
まずは、複数の検索表から節の見当をつけた。茎や枝の表皮細胞に螺旋状肥厚がないから、ミズゴケ節ではない。次に、枝葉の横断面で、葉緑細胞が腹側に多く出ていることから、キレハミズゴケ節でもなく、キダチミズゴケ節でもない。さらに、枝葉背側の透明細胞には、多数の小孔が一列に並ぶことはないから、ユガミミズゴケ節でもない。 |
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